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遺言とは
遺言とは被相続人(遺言作成者)が自己の財産(相続財産)の処分の方法や残された家族のあり方など、自分の最終意思を死後に遺したものです。
また、法的な効果は生じない付言事項という家族への感謝の気持ちや、様々な想いを伝える事もできます。
例えば「妻には自宅を子には現金を」などの希望がある場合、遺言を残すことで、自分の希望に沿った遺産分割を実現できます。
また、財産の分割方法についての指針を立ててあげることで、遺産分割協議のトラブルを防ぐことができます。
ただし、相続人の遺留分には注意が必要で、遺留分を侵害していると遺留分侵害額請求の対象になってしまい、実際に請求されると遺留分の額だけ金銭での返還をしなければなりません。
遺言でできること
身分に関すること
- 認知
- 未成年後見人、監督人の指定
相続に関すること
- 相続分の指定、指定の委託
- 遺産分割方法の指定、指定の委託
- 遺産分割の5年間禁止
- 特別受益の持戻の免除
- 相続人の廃除、廃除の取消
- 相続人相互の担保責任の指定
- 遺留分侵害額負担割合の指定
財産の処分に関すること
- 遺贈
- 財団法人設立のための寄付行為
- 信託の設定
その他
- 遺言執行者の指定、指定の委託
- 祭祀主宰者の指定
- 生命保険金の受取人変更
- 遺言の撤回
遺言の種類
遺言には、大きく分け普通方式の遺言と特別方式の遺言の2つの種類の遺言があります。
一般的に行なわれているのは、普通方式の遺言で、特別方式の遺言は緊急時、特殊な状況で作成される遺言です。
ここでは、普通方式の遺言である自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類を紹介します。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、その名のとおり遺言者本人が遺言を全文自筆で書くというものです。
しかし2019年1月13日から、民法改正により自筆証書遺言の方式緩和がされました。
改正前は全部を自筆で書く必要がありましたが、自筆証書遺言にパソコン等で作成した財産目録を添付したり、預金通帳のコピー、不動産の登記事項証明書等を目録として添付することが認められました。
ただし、添付する目録にはすべてに署名押印をしなければなりません。
自筆証書遺言の要件
自筆証書遺言を作成するためには、無効にならないように次の4つの要件を押さえておく必要があります。
- 遺言者本人が、手書きで書く
- 日付を記載する
- 署名をする
- 押印する
作成のポイント
以下の点に注意し作成しましょう
- 財産の把握
- 法定相続人の調査
- 誰に何を相続させるのか決める
- 内容は正確に記載する
- 遺留分に注意する
自筆証書遺言のメリット
- 手軽に作成できる
- 費用があまりかからない
- 内容を秘密にできる
自筆証書遺言のデメリット
- 様式に不備があり無効のおそれがある
- 内容の不備で希望が実現できない
- 家庭裁判所の検認手続が必要である
- 紛失のおそれがある
- 死後発見されないことがある
自筆証書遺言の保管制度
以前は、自筆証書遺言の保管方法の指定がありませんでしたので、自宅で保管し紛失したり、複数の遺言書が存在するといった問題がありました。
また、相続人が自分に不利な内容の遺言書を破棄したり、改ざんする恐れもありました。
この対策として、2020年7月10日から、法務局が「自筆証書遺言」を保管する制度ができました。
内容は以下のようなものになります。
自筆証書遺言の保管制度の内容
- 法務局が形式面の確認をしてくれる
- 法務局が原本と画像データを預かってくれる
- 死亡時に遺言書が保管されていることを通知できる
- 遺言書の照会があると相続人全員に通知される
- 家庭裁判所の検認が不要である
ただし、法務局は形式面の確認はしてくれますが、その遺言書の内容までは審査しませんので、遺言書の内容に問題がある場合は、遺言書どおりに遺産分割できない場合があります。
次に説明する公正証書遺言の場合は、公証人が作成しますので、そのような心配がありません。
遺言書どおりの遺産分割を実現したい場合は、公正証書遺言で作成するか、専門家に手伝ってもらうことを検討してください。
公正証書遺言
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証役場において公正証書で遺言が作成され、公証役場に保管してもらう方式です。
公正証書遺言は、証人2人が立会い、遺言者が公証人に遺言内容を説明し、それを公証人が書面化して読み聞かせ、遺言者と証人がその書面が正確であることを確認して署名・押印し、さらに公証人が方式に従ったものであることを付記し、署名・押印しなければなりません。
公証人も内容をチェックしているので、無効とされてしまう危険性が低くなります。
行政書士等の専門家に依頼されますと、公証人と事前の打ち合わせをもしてもらえ、証人の手配なども任せることができ、作成当日にご自身が公証役場に足を運ぶのみです。
遺言の内容を実現するためには、公正証書遺言が有効であり、当事務所でもお勧めさせていただいております。
公正証書遺言のメリット
- 自書する必要がない
- 様式の不備で無効になるおそれがない
- 内容の不備をチェックしてもらえる
- 公証役場に保管される
- 家庭裁判所の検認手続が必要ない
公正証書遺言のデメリット
- 公証人の手数料がかかります
- 内容を公証人と証人に知られてしまう
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは
秘密証書遺言は遺言の存在のみを公証人に証明してもらい、その内容については秘密にできる遺言です。
遺言者が遺言書に署名押印して封印した遺言書を、公証人と2人以上の証人の前に提出します。
秘密証書遺言は、自筆証書遺言とは異なり、自筆でなくてもよく、他人が代筆しても、パソコンで作成してもかまいませんが、署名だけは自筆しなければならず、押印も必要です。
封印した遺言書が提出されるため、遺言者しか内容がわかりませんので秘密にしておきたい場合に有効な遺言といえます。
公証役場には封紙の控えが保管されるだけで、公証人は遺言書を保管せず、その保管は遺言者が行う必要があります。
ただ、開封するときは家庭裁判所の検認の手続きが必要であることや、遺言書に不備があれば無効になることから、ほとんど利用されていません。
デメリットの多さから当事務所でも秘密証書遺言はお勧めしておりません。
秘密証書遺言のメリット
- 遺言の内容を秘密にできる
- 遺言の本文がパソコンや代筆でも可能
秘密証書遺言のデメリット
- 様式の不備で無効の恐れがある
- 内容の不備で希望が実現できない
- 作成の手間と費用がかかる
- 自身で保管するため紛失のおそれがある
- 家庭裁判所の検認手続が必要である
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