借金があると生活保護を受けられない?
生活保護を受けるには、以下の要件が必要になります。
- 現在持っている資産は生活のために活用する。
- 働くことのできる方は、その能力に応じて働いて収入を得る。
- 他の制度で給付を受けることができる場合には、まずその制度を利用する。
- 親族等から支援が得られる場合、その支援を受けること。
生活保護を受ける要件には、「借金がないこと」は入っていません。
つまり、生活保護を受ける際の福祉事務所による調査では、生活保護を受給できるか否かの判断について、借金の有無は判断材料になりません。
上記の要件さえ揃っていれば、借金があっても生活保護を受けることはできます。
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生活保護を受けると借金は帳消しになる?
借金があっても、要件さえ揃っていれば、生活保護は受給できますが、借金がなくなるわけではありません。
そのまま、借金を返済する義務は残り、督促や取り立ては続くことになります。
また、生活保護を受けていることを理由に、借金を免除してくれることもないでしょう。
借金を滞納し続けると、利息によって金額が増えますし、最終的には債権者によって裁判所に申立てが行われ、財産が差押えられることもあります。
生活保護費は生活保護法第58条によって「差押禁止債権」に指定されているため、差押えの対象にはなりませんが、返済に充てられそうな財産は差し押さえられることになりかねません。
生活保護費での借金の返済
生活保護費の使途については制限はありませんが、借金は資産を形成する行為でもあり、生活保護費でその借金を返済することは、認められないでしょう。
住宅ローンも借金の一種ですが、厚生労働省は、生活保護費での住宅ローンの返済について、「保護費から住宅ローンを返済することは、最低限度の生活を保障する生活保護制度の趣旨からは、原則として 認められません。」と述べています。
また、生活保護費での借金の返済を直接禁止する法律はありませんが、生活保護法第62条では、福祉事務所から指示・指導を受けたときは、これに従う必要があると定められています。
そして、適切な理由がなく指示・指導に従わないときは、生活保護を受けられなくなることがあると定められています。
以上のことから、生活保護費での借金の返済は難しいと考えられます。
ただし、少額の借金で、返済期間も短い場合には、認められるケースもありますので、福祉事務所や担当のケースワーカーに相談しましょう。
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最終的には自己破産をする
福祉事務所やケースワーカーから指導を受けているのに、生活保護費で借金の返済をすると、生活保護費の支給が止められたり、場合によっては生活保護費の返還を求められたりすることになります。
したがって、借金がある方が生活保護を受ける場合には、「自己破産」をすることが、問題を解決することになります。
自己破産とは債務整理の一種で、裁判所で手続きをすることで、原則として借金の返済の必要がなくなります。
債務整理には、「自己破産」の他に「個人再生」や「任意整理」がありますが、それらは借金や利息を減額することができますが、返済はしなければなりませんので、ある程度の収入が必要になります。
生活保護の受給を検討している方や、生活保護の受給中の方は、生活に必要な収入が得られていない場合が多いので、「自己破産」選択する必要があるでしょう。
自己破産をする場合には、裁判費用や弁護士費用がかかりますが、生活保護受給中の方は、法テラス(日本司法支援センター)による民事法律扶助制度の利用が可能で、弁護士費用や最低限の裁判費用や予納金が免除されることがあります。
また、生活保護を受給している方が自己破産をするデメリットは、少ないと考えられます。
自己破産をすると、ローンを組めなくなったり、クレジットカードを使えなくなりますが、生活保護を受ける方は、そもそもローンは組めませんし、クレジットカードの使用は禁止されるからです。
官報に氏名や住所が掲載されますが、官報を読まれる方はほとんどいませんので、影響はないと思われます。
ただし、自己破産で免責となるのは破産者本人のみです。
そのため、保証人や連帯保証人が要る場合には、保証人や連帯保証人の支払い義務は残ったままであるため、自己破産をしても保証人・連帯保証人は返済が終わるまで続けなければならないのです。
場合によっては、保証人や連帯保証人が債務整理を行う必要が出てくるケースもあります。
生活保護受給中に新たな借金をしない
生活保護を受けている方が借金をすることを禁止する法律等の規定はありません。
しかし、借金の申込みの際には、必ず審査がありますので、生活保護を受給している方は収入や資産が少ない方が多いので、借金をあらたにすることは現実的には難しいです。
ただし、生活保護を受給している方に、お金を貸してくれる金融機関や消費者金融が絶対ないとも限りません。
だからといって、生活保護を受けている方が借金をすることはお勧めできません。
生活保護の受給中に、新たに借金をしますと、その借金は「収入」とみなされてしまします。
生活保護は最低生活費に満たない場合に支給されるものであるので、収入が増えたとなれば、当然もらえる生活保護費は減額されます。
また、生活保護費から借金を返済することはできませんので、福祉事務所に申告をしない方も多いと思います。
借金をしたことを福祉事務所やケースワーカーに申告せずに、今まで通りの生活保護費を受給し続けますと、不正受給となってしまい、生活保護が廃止されたり、受け取った生活保護費の返還を求められることもありえます。
通常の生活で借金が必要になるという方は、生活保護費でやり繰りできるように、家計を見直す必要があるでしょう。
正当な理由で、緊急にお金が必要な場合には、特定な状況で支給される一時扶助や公的な貸付制度を紹介してくれる場合もありますので、福祉事務所やケースワーカーに相談してみましょう。
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