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ひきこもりとは
ひきこもりとは、仕事や学校に行かず、なおかつ家族以外との人間関係がなく、社会参加をしていない状態を指します。
厚生労働省はひきこもりの定義を「様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家 庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)」としています。
完全に家から出られない人だけを指すのではなく、近所のコンビニに行くなど、他者と交わらない形で外出をしている人もいて、ひきこもりには様々な態様があります。
8050問題
8050問題とは、就職氷河期や長引く不況や、職場でのパワハラ等の人間関係などが原因で20代や30代の若者がひきこもりになり、それが長期化し解決されず、80代の親が50代の子ども経済的に支えなくてはならない家庭が増えている社会問題のことをいいます。
年齢から親の収入も減っており、年金だけで生活している方も多く、80代の親が子供の生活費も負担しなくてはならないとなると、経済的に困窮するケースが多くなります。
また、親が元気なうちは良いですが、親が病気になったり介護が必要になったり、亡くなったりすればたちまち生活が立ち行かなくなってしまう可能性もあります。
その結果、最悪のケースでは、親が亡くなった後に必要な手続きをとらず、年金を不正受給してしまったり、社会から孤立してしまった子供が家で亡くなってしまうということも考えられます。
ひきこもりは生活保護を受けられる?
生活保護法第1条に「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と定めているように、日本国民なら誰でも受給する資格がありますので、ひきこもりの方も受給する資格はあります。
生活保護費は、生活保護申請をする世帯の収入が、国の定める最低生活費に満たない場合に、その足りない分の保護(保護費の給付)が受けることができ、最低生活費は、同居家族のそれぞれの年齢および世帯人数と居住している地域によって決定されます。
ただし、生活保護の財源は税金であり、国民の最低生活を保障する最終の手段であることから、生活保護を受けるには条件があります。
生活保護を受給するために必要な条件は、主に生活保護法第4条に定められています。
生活保護法第4条1項では、「保護は生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」
また、2項では「民法に定める扶養義務者の扶養及びその他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」
つまり生活保護を受けるには、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、活用することが前提であり、また、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
ひきこもりの方も、この条件に適合している必要があります。
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収入について世帯単位の原則が問題になる
最低生活費よりも収入が下回っていれば、原則生活保護の受給は可能ですが、世帯全員の収入が考慮されます。
世帯収入ですので、本人だけでなく同居家族の収入も合算したものが基準となり、生活保護費は最低生活費から世帯収入を差し引いた差額が支給されるため、これを超える収入がある場合には対象外となります。
引きこもりの方の多くは、ご実家などに住んでいる場合がほとんどであり、本人の収入が無くても、親や同居家族に収入(年金も含まれます)がありますと、生活保護が受けられないケースも多いですし、受けられたとしても少額しか受けられません。
このため、生活の困窮から抜け出せないことが多く、親や同居家族の経済的負担は減りません。
これを解決するためには、親とひきこもりの方との世帯を分ける必要があります。
具体的には、ひきこもりの方が部屋を借りて、1人暮らしを始め、住民票を移すことで、本人は収入がありませんので生活保護を受けることができ、親も経済的な負担が減りますし、本人の自立を促すこともできます。
ひきこもりの方の生活保護についてお悩みの方はTTF行政書士事務所にご相談下さい。
資産の活用について
生活保護法4条は、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と定めております。
生活保護費の財源が税金である以上、資産を保有しながら生活保護を受けることはできず、自身が保有する資産を活用して生活の維持に努めることを求められます。
具体的には、世帯員全員の土地、建物、車、バイク、貯蓄型の保険を売却や解約して生活費に充てなくてはなりません。
資産に関しても、世帯単位の原則が適用されますので、ひきこもりの方は資産を持っていないくても、親や同居家族の資産を売却しなければいけなくなります。
ひきこもりの方は、資産を持っていないケースがほとんどですので、1人暮らしを始め、世帯を分け生活保護を受けることで、親や同居家族の資産を売却する必要もなく、経済的な負担が減ります。
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能力の活用について

能力の活用とは、稼働能力の活用のことを指し、働くことのできる方は、その能力に応じて働いて収入を得なくてはならず、無職の方は、仕事を探さなければなりません。
ただし、ひきこもりの方は統合失調症や広汎性発達障害などの病気をもっていたり、職場でのパワハラ等の人間関係が原因でうつ病、パニック障害、社会不安障害などの病にかかっている場合があり、就労や社会参加が困難になっていることがあります。
生活保護を受給すれば、指定された医療機関での受診や薬が無料になりますので、病気の治療に専念して回復してからの社会復帰が目指せます。
また、病気の状況が改善すれば、社会復帰に向け、職業訓練等の就労支援を受けることができます。
そのためには、ひきこもりの方が1人暮らしを始め、住民票を移つして、世帯を分けて、生活保護を受けることが良い判断だと考えられます。
- 統合失調症
幻覚や妄想、幻聴が主な症状で思考や行動、感情をまとめていく(統合する)能力が長期間にわたって低下する病気です。 - 広汎性発達障害
対人関係およびコミュニケーション能力の障害やパターン化した行動、強いこだわりなどの特徴がみられる障害です。 - うつ病
日常生活に強い影響が出るほどの気分の落ち込みが続いたり、何事にも意欲や喜びを持ったりすることができなくなる病気です。 - パニック障害
突然に恐怖や不快感を生じて、動悸、息苦しさ、吐き気、ふるえ、めまい、発汗などの発作を繰り返す病気です。 - 社会不安障害
人前で注目が集まる状況で、過度の緊張や不安、緊張を感じ、その状況からの回避するようになる病気です。
その他あらゆるものの活用について(その他の制度の活用)
他の制度で給付を受けることができる場合には、まずそれらを最大限利用して、生活費に充てる必要があります。
雇用保険(失業保険)は、生活保護に優先しますので、ひきこもりの方で雇用保険を受けることができる方は、まず雇用保険の給付を受ける必要があります。
ひきこもりの方が1人暮らしを始め、住民票を移つして、世帯を分けて生活保護を受けることができるケースでも、雇用保険を受けられる場合には、まず雇用保険の受給をして、それでも最低生活費に満たない部分は生活保護を受けることができます。
扶養義務者の扶養(扶養照会)について
生活保護法4条2項には、「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」と定めれれております。
つまり、生活保護を受けるためには、まず扶養義務者からの経済的な援助が優先しますので、扶養義務者に生活保護を希望する人の経済的な援助ができるかどうか確認をしてからになります。
配偶者、両親、子、孫、祖父母、兄弟姉妹等の扶養義務者から支援が得られる場合、その支援を受けることを求められます。
経済的な負担により、ひきこもりの方と世帯を分けた場合には、親や家族が生活に余裕がなく、子供の生活を援助できない旨を、福祉事務所に説明しましょう。
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国のひきこもり支援
ひきこもり支援については、ひきこもりに特化した専門的な相談窓口として、「ひきこもり地域支援センター」を47都道府県、20指定都市、18市区町村に設置しています。
専門のひきこもり支援コーディネーターが、ひきこもりの状態にある方やその家族への相談支援を行います。
そして、ひきこもりの方の居場所づくり、地域のネットワークづくり、当事者会・家族会の開催、住民への普及啓発等を総合的に実施し、地域におけるひきこもり支援の拠点としての役割を担っています。
また、より小規模のひきこもり支援の核となる、相談支援・居場所づくり・ネットワークづくりを一体的に実施する「ひきこもり支援ステーション事業」やひきこもり支援の導入として、地域の特性に合わせて任意に事業を選択し、ひきこもり支援に関する相談を受ける「ひきこもりサポート事業」があり支援を受けることができます。
ただし、本人がそもそも自治体の支援を受けたがらない場合や支援を受けたが改善しない場合には、別の方法をとらなくてはなりません。
国・自治体の支援では解決できずにお困りの方は、TTF行政書士事務所へご相談下さい。
就職支援・就労支援

就職支援は、ハローワークでの「職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)」、「地域若者サポートステーション(サポステ)」、「ジョブカフェ(高齢の方はジョブサロン)」を利用することができます。
就労支援とは、就職支援と異なり、障害者総合支援法で定められている障害福祉サービスであり、障害や疾患、貧困や年齢などの理由で働くことに困難がある人を対象に、就職し働き続ける過程を支援しており、障害や疾患のある人を対象とした就労支援には、「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労定着支援」があります。
ハローワークの職業訓練
ハローワークでの職業訓練とは、障害の有無に関わりなく、失業中または求職中の人が再就職を目指して技術を身に付けるための「職業訓練」を提供する施設のことで、近年では「ハロートレーニング」という愛称でも呼ばれております。
職業訓練には大きく分けて、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類で、IT系、建設関連、事務、医療、介護、美容等さまざまな訓練を受けられるコースが用意されており、自身が希望する訓練を受けることができますが、選考試験や抽選がある場合もあります。
「公共職業訓練」は主に雇用保険を受給している人が対象で、「求職者支援訓練」は主に雇用保険を受給できない人やすでに受給期間が終了してしまった人が対象ですが、失業保険をもらえない人でも受けられる公共職業訓練があったり、失業保険をもらっている人が求職者支援を受けられたりする場合があったりしますので、ハローワークで確認しましょう。
「公共職業訓練」の訓練期間は約3カ月~2年でテキスト代以外の受講料は無料で、「求職者支援訓練」の訓練期間は2~6カ月でテキスト代以外の受講料は無料で、求職者支援訓練は、一定要件を満たせば、訓練期間中月10万円の「職業訓練受講給付金」が支給されます。
職業訓練は、基本的に平日毎日9時~17時に行われ、しっかりと訓練・勉強をする必要があります。
地域若者サポートステーション(サポステ)
地域若者サポートステーション(サポステ)とは、働く意欲はあるものの、様々な理由で一歩が踏み出せない等の働くことに悩みを抱える15歳~49歳までの方をサポートし職業的自立を促すために設置された相談窓口で、厚生労働省が委託した全国のNPO法人、民間企業などが運営しています。
就労に関する相談・面談や就労体験、面接指導など、就労に向けた総合的な支援を障害の有無に関わりなく行っています。
これまで地域若者サポートステーションでは39歳までの方が支援対象でしたが、49歳に引き上げられ、40代の支援については「サポステ・プラス」として、就労に向けた総合的な支援を行っております。
サポステは、ひきこもりの方や仕事にブランクのある方へ、コミュニケーション訓練、基本的なパソコン講座、就労体験や履歴書の書き方等、具体的な就職先を探す一歩手前のところをサポートします。
利用料は原則無料で、期間は基本的には6カ月間と設定される場合が多いですが、必要に応じて延長することもあります。
ジョブカフェ(ジョブサロン)
ジョブカフェは、正式名称を「若年者のためのワンストップサービスセンター」といい都道府県が主体となって設置している支援施設で、若年者(原則として15歳から34歳まで)の能力向上・就職促進を目的とし、職場体験や職業紹介などの雇用関連のサービスを提供しています。
35歳以上の方は、ジョブサロンと呼ばれる就職支援施設を利用することができ、サポート内容は34歳までのジョブカフェと同じですが、35歳以上にも対応しているジョブカフェもありますので、ご自身でご確認ください。
ジョブカフェでは、個別のカウンセリング、マナー、パソコン、履歴書等のセミナーの開催やインターンシップ(就業体験)の斡旋等の支援を行っております。
ジョブカフェ(ジョブサロン)が地域若者サポートステーション(サポステ)と大きく違うのは、職業紹介があるというところです。
地域若者サポートステーション(サポステ)は、就職先を探す一歩手前のところをサポートし、職業紹介はありませんが、ジョブカフェでは、就職相談から、能力の向上、職業紹介まですべてをワンストップでおこなってくれます。
現在、46の都道府県が設置しており、無料でサポートを受けることができます。
就労移行支援

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づいた一般の企業に就職を希望する障害者の就労サポートを行う行政サービスで、生産活動や職場体験などの機会の提供を通じ、自立的で充実した社会生活を送られるように、その方の適性に合った職場への就労を目指します。
知的障害、身体障害や精神障害などを持つ方が対象となりますが、障害者手帳を持っていない方でも、自治体等の判断により利用できることもあります。
就労移行支援では、集中力、持続力等を習得することから、ビジネスマナーの習得したり職場見学や実習、履歴書・職務経歴書の作成等の就労に必要な知識や能力向上のための訓練を行いながら、自身に合った職場を探します。
ただし、就労移行支援では、直接職業紹介を行うことは認められていませんので、ハローワーク等と連携し、最適な職場を見つけるためのサポートを受けることになります。
支援の対象になる方は、一般企業への就職を目指し、就職活動をサポートしてほしい18歳以上65歳未満の障害や難病のある方へ原則2年間、就職に向けて利用することができます。
就労継続支援
「就労継続支援」とは、一般企業などで働くことが困難な方や、就労移行支援を利用したけれど就職にいたらなかった方が障害や体調にあわせて働く準備をしたり、働くための能力を向上したりするための障害者総合支援法を土台とした福祉サービスで、働く機会を提供しながら知識とスキルの向上を目指します。
「就労継続支援」では、一般企業に就職が困難な方に向けて働く場を提供し、少しずつスキルを身に着けていくことを目的としています。
就労継続支援には「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2種類があり、就労継続支援A型とB型は「障害のある方が働く」という意味では同じですが、それぞれ目的や対象者、収入などの面で大きな違いがあります。
就労継続支援A型は、一般の企業などで働くことが困難なものの、一般就労に近いかたちで、事業所と雇用契約を結んだ上で働くことができるサービスで、一方、就労継続支援B型は雇用契約を結ばずに、障害や体調にあわせて自分のペースで利用でき、一番大きな違いとしては「雇用契約を結ぶか結ばないか」という点になります。
就労継続支援A型では、雇用契約を結んでいることから最低賃金額以上の給料が保証されており、一方就労継続支援B型では雇用契約を結ばないことから、「工賃」として成果報酬の支払いが行われます。
「就労継続支援」は利用期間の定めはありません。
無理やり連れだす行為
ひきこもりを解消させるために、自宅から無理やり連れだす「支援業者」に依頼して、施設や病院に監禁状態するのはやめてください。
本人の同意なく連れ出し、家に帰さない行為は重大な人権侵害にあたり、逮捕監禁罪に当たる可能性が高いと考えられます。また裁判所も「移動の自由を侵害する不法行為」であるとし、賠償責任を認めています。
無理やり連れだす行為がいけないのは、「人権侵害にあたり不法行為」であるという事よりも重要な理由が他にあります。
それは、本人の同意なく連れ出し、家に帰さない行為が「本人」に与える心理的な影響です。
無理やり連れだすことにより、本人が人間不信に陥ったり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患ってしまう危険性があるという事です。
人間不信に陥ったり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患うという事は、家族が望む「本人の社会復帰」には間違いなく逆効果になってしまいます。
短期間でひきこもりを解消することは稀で、年単位の時間がかかることも多いです。
そのため、家族の心理的負担や経済的な負担が限界に達する前に対応し、本人と信頼関係を築き、我慢強く話し合い、少しずつでも社会復帰を目指すことが重要であると考えられます。
ひきこもりについてお悩みの方はTTF行政書士事務所にご相談下さい。
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