
離婚慰謝料とは
不貞行為(不倫や浮気)や暴力(DV)が原因で、離婚をすることになった場合、それにより離婚をせざるを得なかった被害者は多大な精神的苦痛を受けることになります。
このような場合、離婚の原因を作った加害者に対し、離婚慰謝料を請求することができます。
離婚慰謝料とは、夫婦が離婚をする際、不貞行為や暴力などの違法行為によって受けた精神的苦痛に対して支払われるお金のことをいいます。
従って、離婚慰謝料は離婚をする場合に、必ず女性が男性へ請求できるものではなく、女性側が不貞行為を行い、離婚の原因を作った場合には、男性から女性への請求も可能です。
また、離婚の理由として多くみられる「性格の不一致」や「価値観の違い」などは、どちらかが一方ではなく夫婦双方に離婚の責任があるとされることから、慰謝料は認められません。
慰謝料が認められるケース

慰謝料は、夫婦の一方の違法な行為よって結婚生活を破綻させ、離婚をせざるを得なかった場合に認められます。
離婚の慰謝料が認められる典型的な例は、不貞行為(不倫や浮気)です。
法律に、不貞行為(不倫や浮気)をしてはならないと定められてはいませんが、不貞行為があると離婚ができること(民法770条1項1号)から、夫婦はお互いに貞操義務を負うと考えられています。
貞操義務とは、夫婦がお互いに性的純潔を保つ義務のことをいいます。
従って、不貞行為により精神的苦痛を受けた夫または妻は、貞操義務違反に基づいて慰謝料を請求できるということになります。
暴力(DV)が原因で、離婚をすることになった場合にも、当然に慰謝料が認められます。
また、肉体的な暴力(DV)だけではなく、言葉や態度によって相手に繰り返し精神的暴力を振るう行為(モラルハラスメント)も慰謝料請求をすることが可能です。
このほか、夫婦はは同居し、互いに協力し扶助しなければならない義務(民法752条)に違反し、収入があるのに自分の好きなことにお金を使って一切家庭にお金を入れない、家出を繰り返す、配偶者を家から追い出す(悪意の遺棄)場合等にも離婚慰謝料が発生します。
慰謝料が認められるケースの例
- 不貞行為(不倫や浮気)
- 肉体的暴力(DV)
- 精神的暴力(モラハラ)
- 生活費を渡さないなど(悪意の遺棄)
- 性交渉を拒否すること
なお、不貞行為の場合には、夫や妻の不貞相手に対しても慰謝料を請求することが可能です。
慰謝料が認められないケース
離婚の理由として多くみられる「性格の不一致」や「価値観の違い」などでは、基本的に慰謝料は発生しません。
慰謝料とは、夫婦の一方の行為に違法性があるなど、責められるべきことをしたケースにおいて発生します。
従って、夫婦がお互いに離婚の原因について、責任がある場合には認められません。
また、不貞行為があっても、長期間の別居中であるなど、既に夫婦関係が破綻した後である場合には、認められません。
その他には、離婚が成立してから3年を経過して時効が成立してしまった場合、本来なら離婚慰謝料を請求できるがケースであるが証拠がない場合などには認められません。
慰謝料が認められないケースの例
- 性格の不一致や価値観の違い
- 離婚原因に違法性がない
- 夫婦双方に責任がある場合
- 夫婦関係が破綻した後の不貞行為
- 離婚が成立してから3年を経過
- 請求できるケースだが証拠がない
慰謝料の金額の決め方
慰謝料の金額については,明確な基準は存在しませんので、夫婦の話し合いだけで慰謝料を決めるのであれば、いくらでも自由な金額に設定することはできます。
裁判所が慰謝料の金額を決めるときに考慮する要素しては、以下のような事情です。
慰謝料の金額で考慮される事情
- 離婚に至った経緯や原因
- 精神的な苦痛の程度
- 結婚の期間の長さ
- 夫婦の年齢
- 未成年の子の有無
- 加害者側の支払い能力や社会的地位
- 被害者側の資力や収入
離婚に至った経緯や原因が悪質である、慰謝料を請求する側が精神的に大きな苦痛を感じている、結婚期間が長く高齢である、未成年の子供がいる、などの事情がある場合には、慰謝料が高くなる傾向にあります。
慰謝料の相場

不貞行為(不倫や浮気)で離婚する場合、離婚慰謝料の目安は100万円から300万円程度です。
離婚に至らない場合数十万円~100万円ほどになります。
暴力(DV)が原因で離婚する場合の慰謝料は、50万円から300万円が相場です。
ただし、暴力の程度が悪質で被害も重い場合には、500万円の慰謝料が認められたケースもあります。
悪意の遺棄が原因で離婚する場合の慰謝料は、50万円から100万円程度になるのが相場です。
慰謝料の金額については,明確な基準は存在しませんので、夫婦の話し合いだけで慰謝料を決めるのであれば、いくらでも自由な金額に設定することはできます。
慰謝料を請求する方法
離婚慰謝料を請求するには、まず夫婦で直接話し合いをしましょう。
慰謝料の金額や支払い方法は夫婦で話し合って自由に決めることができます。
金額、支払い方法、支払い期限などを話し合って決めます。
話し合いがまとまったら、取り決めた事項は、後の紛争を防止するために、必ず文書にしておきましょう。
離婚慰謝料について合意した場合は、「離婚協議書」を作成するのが一般的です。
公正証書にしておくと、支払いが滞った場合はすぐに強制執行の手続きが取れます。
話し合いがまとまらない場合、離婚時(離婚前)の場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、そのなかで慰謝料についても話し合を行います。
調停が不成立になった場合には、訴訟を提起して、離婚とともに、慰謝料についても判断してもらうことになります。
離婚後の場合には、家庭裁判所に慰謝料請求調停を申し立てるか訴訟を提起します。
調停で話し合っても慰謝料について合意できない場合には、訴訟を提起する必要があります。
慰謝料の請求期限

離婚後でも慰謝料を請求することは可能です。
ただし、慰謝料を請求できる権利には時効という期限がありますので、離婚後その期限が過ぎますと、慰謝料の請求をすることが難しくなってしまいます。
夫婦間の慰謝料請求は、離婚が成立してから3年を経過すると時効になります。
離婚慰謝料は離婚の際に請求するケースが多いですが、離婚後であっても3年以内であれば請求が可能です。
時効が完成してしまうと、慰謝料の請求は難しくなりますが、離婚の原因を作った側に、時効後でも慰謝料を支払う意思があれば、その支払を受けることに問題はありません。
また、離婚の原因となる行為から20年を過ぎると、時効により慰謝料請求の権利が無くなってしまいます。
離婚時に様々な理由により慰謝料の請求をしなかった場合でも、離婚後一定期間内に請求することは可能ですので、早めに行動に移しましょう。
20年の規定は改正前の民法において、時効の猶予や更新がない除斥期間であると解釈されていましたが、改正民法では時効期間であるとされました。
慰謝料の時効が迫っている場合
離婚慰謝料を請求したいが、時効の期限が迫っている場合には、3年の時効の期間を猶予したり、更新したりすることが可能です。
内容証明郵便で元夫や元妻に慰謝料を請求すれば、6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。
その間に慰謝料について話し合いますが、交渉での解決が難しい場合には,6ヶ月が経過するまでに裁判を起こします。
裁判を起こせば、裁判が終わるまで時効の完成を猶予することができ、時効は完成しません。
確定判決等により、新たな時効期間の進行が始まります。
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